チルドレン/伊坂幸太郎 | チャンネル83

チルドレン/伊坂幸太郎

伊坂 幸太郎
チルドレン
 
「俺たちは奇跡をやってみせるってわけだ。
ところで、あんたたちの仕事では、奇跡は起こせるのか?」 (チルドレンⅡより)
 
昨日の「オーデュボンの祈り」に続いて紹介するのはこれ。
陣内という人物を中心に描かれる5つのストーリー。
作品は陣内の学生時代の話(「バンク」「レトリーバー」「イン」)
彼の家庭裁判所の調査官になってからの話(「チルドレン」「チルドレンⅡ」)の2つに大きく分かれる。
そして話はどれもが彼の周りにいた人物の目線から描かれている。
 
正直な話をすると最初は「死神の精度」「重力ピエロ」に比べると地味な印象があってか、
そこまで面白いとは思えなかった。
ただ、2度目に読んだ時、
「ああ面白いじゃん、この小説!」ってちゃんと思えた訳。
恐らく当時は「死神~」「重力~」=伊坂作品ってイメージがあったためか、
フィルターがかかってちゃんと読めなかったのかもね。
相変わらず伏線の貼り方が上手くて、
その伏線が回収されていくのを楽しんだり時々感心したりしながら読めたよ。
ってか何より注目すべきは陣内!
もうやつの存在なしにこの小説は語れない。
(ちなみに僕がお世話になっている流石奇屋ヒットさん お気に入りのキャラだったりします)
一言で言ったら滅茶苦茶、支離滅裂、型破り!
彼の発するでたらめな論理や言動の一つ一つがおかしくて、
くすくす笑いながら読めちゃってさ。
でも時々放つセリフがとてつもなくカッコよくてたまらない!
それでもやっぱり滅茶苦茶だけどね。
まさに奇跡。
ただ救おうと思って救っている訳じゃないんだろうけどね、この人は。
 
他の作品に比べたらゆったりとした平穏な作品。
特別さはないかもしれないけど何だか好きになれる作品でした。
 
 
他の伊坂作品へのリンクはこちら
 
「オーデュボンの祈り」の感想
http://ameblo.jp/channel83/entry-10007531867.html
 
「重力ピエロ」の感想
http://ameblo.jp/channel83/entry-10007025428.html
 
「死神の精度」の感想
http://ameblo.jp/channel83/entry-10006456031.html