オーデュボンの祈り/伊坂幸太郎 | チャンネル83

オーデュボンの祈り/伊坂幸太郎

伊坂 幸太郎
オーデュボンの祈り
「未来は神様のレシピで決まる」
 
年明け一発目に紹介するのは去年に引き続きの伊坂作品。
ってこれ、去年の年末に読んだやつなんだけどね。
ちなみに「チルドレン」「砂漠」も年末に読んでいたりする。
 
読んでてルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を想像してしまった。
言うなれば伊坂流「不思議の国アリス」か?
そう思ったのは多分、出てくる風変わりな登場人物のせいだろう。
ついでに言えば、出だしのバニーガールのくだりはアリスの白うさぎを連想させる。
ただ、夢オチでしたというオチはない。
 
ふとコンビニ強盗未遂を犯し、パトカーから逃げた主人公、伊東。
その途中、意識を失い、
気がつくと外界との接触を閉ざした誰も知らない島、
荻島に彼はいた。
どこか非現実的な島、変わった人々、
そして未来を知る喋るカカシ、勇午。
伊藤が島に着いた翌日、何故か勇午は殺されていた。
未来を知っているはずのカカシはどうして自らの死を防げなかったのか?
 
「これはミステリーとして有りなのか?」って最初思った。
だって殺されたのは人じゃなくてカカシじゃん!
殺人事件ならぬ殺カカシ事件?
何だよそれって。
でも、読んでて不思議と勇午がカカシなんだけどカカシのように思えないんだけど。
多分人間でもカカシでもなく「勇午」っていう一つの存在なんだろうな。
 
非現実的なおとぎの世界とその住人達を非現実だと思わせながらもどんどんと読ませていくんだから、
しかもこれ、デビュー作でしょ。
大したもんだよなあ。
 
ラスト、様々な登場人物の行動が行なわれるべきして行なわれたもの、
与えられた役割なんだと分かった時はとても気持ちがよかったです。
これも一つの「神様のレシピ」ってやつ?
読み終わった時は優しい読み心地でした。
 
という訳で今年も楽しみです、伊坂幸太郎。
 
あっ、ちなみに「重力ピエロ」ではその後についてちょっとだけ語られたりもしていますんでそちらも是非。
 
「重力ピエロ」の感想はこちら
http://ameblo.jp/channel83/entry-10007025428.html
 
「死神の精度」の感想はこちら
http://ameblo.jp/channel83/entry-10006456031.html