フライ、ダディ、フライ/金城一紀
- 著者: 金城 一紀
- タイトル: フライ,ダディ,フライ
なあ、そんな顔するなよ。
今すぐ立ち上がるから。
少し休んでただけなんだぜ。
すぐに笑顔に変えてやるからな。
愛してるぞ、山下。
見てろよ。
オヤジかっけえ!思わずそう唸りたくなる一冊。
この夏の映画化で話題になっている作品。
金城一紀の作品はこれと「GO」「レヴォリューションNo.3」の三冊を読んだけど、どれも好き。
独特の軽快な文体に、かっこいいセリフ回しの数々。
一度読むとクセになる。
主人公は47歳の中年サラリーマン、鈴木一。
娘に暴行を加えた高校生に復讐をする為、在日韓国人高校生、朴舜臣(パク・スンシン)とその仲間達の協力を得てトレーニングをすることに。
読んでいると自分の中で血沸きあがってくる。
朴舜臣とのトレーニングを通じて彼は徐々にそれまで見えなかった世界を知る。
そしてそんな彼を導く舜臣のセリフの一つ一つに僕自身、はっとさせられる。
「大切なものを守りたいんだろ?、おっさん」
中年オヤジの戦い。
全ては大切なものを守るために。
失った世界を取り戻すために。
もし今まで本を読んだことのない人でも、一度読んでみたらどう?
何かが変わるかもよ。