フライ、ダディ、フライ/金城一紀 | チャンネル83

フライ、ダディ、フライ/金城一紀

著者: 金城 一紀
タイトル: フライ,ダディ,フライ

 

なあ、そんな顔するなよ。

今すぐ立ち上がるから。

少し休んでただけなんだぜ。

すぐに笑顔に変えてやるからな。

愛してるぞ、山下。

見てろよ。


オヤジかっけえ!思わずそう唸りたくなる一冊。

この夏の映画化で話題になっている作品。

金城一紀の作品はこれと「GO」「レヴォリューションNo.3」の三冊を読んだけど、どれも好き。

独特の軽快な文体に、かっこいいセリフ回しの数々。

一度読むとクセになる。


主人公は47歳の中年サラリーマン、鈴木一。

娘に暴行を加えた高校生に復讐をする為、在日韓国人高校生、朴舜臣(パク・スンシン)とその仲間達の協力を得てトレーニングをすることに。


読んでいると自分の中で血沸きあがってくる。

朴舜臣とのトレーニングを通じて彼は徐々にそれまで見えなかった世界を知る。

そしてそんな彼を導く舜臣のセリフの一つ一つに僕自身、はっとさせられる。

「大切なものを守りたいんだろ?、おっさん」

 

中年オヤジの戦い。

全ては大切なものを守るために。

失った世界を取り戻すために。

もし今まで本を読んだことのない人でも、一度読んでみたらどう?

何かが変わるかもよ。